2021年 年頭挨拶 労働者福祉中央協議会 会 長 神津 里季生

2021年1月1日
お知らせ

新年明けましておめでとうございます。

昨年は新型コロナウイルス感染拡大に伴い、異例の事態が続いた1年でした。中央労福協では、三次にわたり省庁・政党に対して緊急要請を行いました。また、労働者自主福祉の取り組みとして生活・就労応援基金(ろうふくエール基金)を設置し、地方労福協が地域で共感を広げ新たな活動にチャレンジするための後押しを行いました。さらに、実開催が叶わなかった全国研究集会では、コロナ禍・大規模災害に強い地域づくりをテーマとした動画を配信し、地域コミュニティのあり方について考察を深めました。あらゆる活動が制限されるなか、「労福協の2030年ビジョン」に改めて確信を持ちながら、歩みを進めてまいりました。これもひとえに、加盟団体をはじめとする関係者の皆様のご支援の賜物であり、心より感謝申し上げます。

しかし、日本では依然として多くの人々が仕事や住まいを失い、様々な困難を抱えています。とりわけ社会的に弱い立場にいる方々ほど深刻な打撃を受け、格差や社会の分断がより拡大しつつあります。様々な時限的な特例措置が講じられた公的セーフティネットについても、その脆弱性について根本的な解決には至っていません。貧困や社会的排除がなく、人と人とのつながりが大切にされ、平和で、安心して働きくらせる持続可能な社会を実現するために、今こそ私たちが真価を発揮する時です。

そのためには、労働運動と労働者福祉事業が「ともに運動する主体」として関係を強化し、消費者運動、NPO・市民運動などとの連携を深め、共助の輪を広げることにより、多様で重層的なセーフティネットを日本社会に張り巡らし、貧困や格差を是正していくことが必要です。

中央労福協は、このポストコロナ時代のスタートの年に、「つながり、寄りそい、支え合う」ことを基軸に、誰もが「助けて」と言える社会を目指します。そのために新しい手法を柔軟に取り入れ、「今こそ労働者福祉運動の出番」との気概をもって取り組んでいきます。