秋の学費支払い厳しくなる可能性 中京大・大内教授が警鐘

2020年10月13日
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コロナ禍で大学生が置かれている現状について述べる大内裕和教授(中京大学)=10月12日、文部科学省にて

中京大学・大内裕和教授と中央労福協は10月12日、文部科学省内で「コロナ禍での学費と奨学金への支援の要請に関する記者会見」を合同で実施した。大手各紙記者など18名が列席した。全国の大学等において後期(秋学期)が開講し、対面授業も始まったが、コロナ禍によるアルバイト収入の減少など、学生の経済的状況は依然として厳しい状況に置かれている。大内教授は「学費の支払いが前期(春学期)より厳しくなる危険性が高い。」として、学生生活を支援する各制度の拡充を強く呼びかけた。

挨拶する神津里季生会長=10月12日、文部科学省にて

冒頭に挨拶した中央労福協・神津里季生会長は「より多くの人々に学生の実情について知ってもらわないと制度の改善につながらない。」として、「文部科学省として学生の実態を把握するとともに、これに基づいた制度の拡充等をしっかりやって頂きたい。」と強調した。
学費と奨学金問題に詳しい中京大学・大内裕和教授は「アルバイト収入は減少傾向が続き、またアルバイトが見つからない状況も続いている。」として、大内教授の元に届いている実際の学生の声に触れながら、コロナ禍における学生の深刻な現状について述べた。大内教授は「オンライン授業が多かった前期(春学期)は、経済的に厳しい状況にある学生も実家を頼ることができたが、対面授業が始まった後期(秋学期)は下宿先に出てくる学生も多くなる。」として「学費の支払いが前期(春学期)より厳しくなる危険性が高い。」と警鐘を鳴らすとともに、学生支援緊急給付金や大学等修学支援制度の支援対象の拡大、給付型奨学金制度の拡充などを強く呼びかけた。
中央労福協・南部事務局長からは、10月9日に文部科学大臣へ要請した「新型コロナウイルス感染症の影響拡大に伴う学費と奨学金への支援に関する第三次緊急要請」について、各学生支援施策の拡充と学生への周知徹底、新型コロナ感染拡大による学生への影響を把握し政策効果を検証するための中退者数の調査など、各要請項目について説明した。また、中央労福協公式ウェブサイトの特設ページ「あなたの声を聞かせてください」に寄せられた「所得制限で支援が受けられないことへの不満」「これまで受けられていた支援が受けられないことへの怒り」などの奨学金制度に対する声を紹介した。また、奨学金返済に関する悩みについて全国で一斉に相談を受け付ける「奨学金に関する全国一斉相談」の取り組みについて触れるとともに、報道各社に周知をお願いした。