「頭でわかっているのに、行動できないのはなぜ?」

2022年11月29日
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11月12日(土)静岡県労働者福祉基金協会が主催する福祉事業団体の職員を対象とする講演会に参加しました。

講演は、「ナッジで手強い相手を動かす!」と題して、青森県立保健大学博士、竹林正樹氏から昨年11月の「経済行動学で人を動かす」の講演に引き続く内容となりました。

ナッジとは、「肘でそっとつく」ことを意味し、人間の行動心理を利用して相手に気付かれないうちに選択を誘導することとされています。

例えば、レジに並ぶ際の「足跡」、階段に「ここまで登ると〇〇カロリー消費」などと書かれたステッカー、お店やコンビニ

のトイレで「いつも綺麗に使ってくれてありがとうございます」という張り紙、スーパーなどの「広告の品」「店長のオススメ」といったPOP広告、更に「松」「竹」「梅」のメニュー表示、最近では、DJポリスが混雑するサッカーファンに向けて「皆さんは12番目の選手、日本代表のようなチームワークでゆっくり進んでください」というスピーチ等々、様々なところでナッジ理論が活用されているようです。

改めて、ナッジ理論とは、人の心理の特性に沿って望ましい行動をしたくなるように促す設計がされています。

人間は判断する上で、「直観」と「理性」が働きます。「直観」は本能的で動きが速い「働き者」です。また「理性」は直感だけでは手に負えない難しい判断を要する時に出現しますが、理性の出現には多大なエネルギーが必要になり、また力が弱いため、直観をうまくコントロールできないこともあるということです。

更に「直観」はエラーを起こしやすい(これを認知バイアスという)性質があり、現状が好きで変化を嫌う「現状維持バイアス」、面倒なことは先送りしたがる「現在バイアス」、自分は例外と思う「楽観性バイアス」等の様々なバイアスを持ち合わせいることから、このバイアス傾向を望ましい行動へと促す設計が「ナッジ」ということです。

竹林講師からは、このナッジ理論を医療検診の分野で活用し多大な成果を上げていることが報告されました。

昨年の講演に続き、大変有意義な講演を聞くことができ、感謝申し上げます。

最後に、世の中にはこのようなナッジ理論を悪用する輩も沢山いるようです。そうした点では、自分の認知バイアスを意識するとともに賢い消費者目線を磨く必要もありそうです。

<ヤスベー>